経営に必要な広報的視点

広報を強化するという言葉を耳にすることがあるが、そもそも広報は特別視するものではない。広告を出稿するか否かは自由であるが、広報はそもそも経営の一環であり、経営の中に同居すべき考え方であると認識しなければならない。即ち、“広報と広告の違いは?”などという質問を受けることがあるが、これらを比較することは適切ではない。

広報とは、如何に社会と接していくかと言うことであり、その社会とは当然顧客だけではない。取引先や業界、官公庁や地域住民、社員や家族など、あらゆるステークホルダー(利害関係者)を指す。加えて情報発信のみならず、受信についても該当する。つまり経営そのものであり、単なる情報受発信のツールの1つではない。しかし余り重要視されていないのが現状である。

売上向上を図るには、広告が効果的と言われてきたが、社会との共生や第三者からの視点を重んじる広報の考え方も、長期的には必ず売上利益に貢献する。勿論、短期的に売上に直結する場合も多い。しかし、広告を出さなくとも企業活動は継続できるが、自分本位に広報と言う視点を無視し続けると、企業活動の継続は難しいと言わざるを得ない。現に不祥事きっかけに潰れていった企業は少なくないことからも解る。もし不祥事を起こした会社が、“広報的視点”を経営に取り込み、かつ記者会見を実施していたら、恐らく最悪なケースは免れたであろう。

常に社会との共生を意識すると言うことは、その企業の社会における位置付けを明確にするだけでなく、強みや弱みを明確にすることにもつながる。つまり情報発信の仕方も変わってくる。積極的な情報受発信をするか否かは別にしても、第三者の視点で企業価値を再検証すれば、気付いていなかった、明確に出来ていなかった自社の強みを発見出来るメリットもある。一度社内を第三者的視点で検証してみては如何だろうか。

広報98箇条 常に第三者からの視点を重視せよ

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