広報活動の評価手法は、未だ確立できていない分野でもあろう。広報活動の効果を明確に出来ていないため、広報活動に対する理解が低い、つまりは予算がなかなか確保できない、要員を確保できないなどと、広報活動を推進浸透させていくことを阻害している大きな要因ではないかと推測する。ではどの様な評価方法が適切なのだろうか。
まず広報活動を評価する目的は、大別して2つあると言える。ひとつは、広報活動の成果を広報部外に示すもの。主に社内における広報部の存在を明確にし、また強化するために使う。これには露出した記事の“広告換算”と言う手法が良く使われる。純粋なパブリシティで掲載された記事が、広告で出そうとすると幾ら掛ったか、つまりは幾ら分の広告費を広報活動で補えたかを図る手法である。
よく使われる広告換算と言えども、記事は広告と違い第三者である記者が書くため信憑性が増すため、同じ枠であれば広告の3倍以上の価値があるなどという考え方もあり、これも確立できているとは言えない。しかしより多くの人(部数や視聴率)に大きな面積(尺)で情報発信が出来たか否かで評価が大きく異なるため、絶対値での評価云々はさておき、比較論として評価するには使える手法ではないだろうか。それに加えて、広報部門、総務部門、販売促進部門、販売サービス部門などへの問合せ数や、問合せ内容(クレーム含め)を網羅的に評価基準とすることも重要である。加えてIRでの出来高や、広告を出さない会社では商品売上というのも指標の一つになり得ると言える。
もうひとつはoutputに対しての評価ではなく、outputを出すために何をやろうとしてどうだったか、つまり広報活動の質を向上させていくための評価である。リリースや個別取材の数は適切だったか、リリースの1本当たりの記事数は適切か、発信手法は適切であったか、メディアとどれだけコンタクトを取れたかなど、広報活動の質を上げていくための指標は少なくはない。これらを定期的に見直し、広報体制を強化していくことが広報活動の評価を得るための近道ではないかと言える。
広報96箇条 目先の露出だけではなく、“活動の質”向上のために評価せよ