広報の真髄

広報とは何か。これはとても一言では言い表すことはできない。広報は英語でPR(public relations)というが、日本で認識されているPRは広報のみならず広告や販売促進、宣伝など網羅的な意味に捉えられることが多いようだ。では広報はどの様に理解すればよいのだろうか。

敢えて一言でたとえるなら、広報活動は“社会と親友になるための活動”である。そのために社会と直接、或いは橋渡し役であるメディアとコミュニケーションを図ることと言える。重要なのは単なる知り合いではなく、“親友になる”ということだ。例えば人の話を聞かず自分のことばかり話をする人。自分の調子の良い時だけ話をする人。或いは言っていることが大きな話ばかりで、本当かどうか疑わしい人と親友になれるだろうか。中には強引な人や大きく見せようとする人、勢いのある人が好きな人はいるだろう。しかし万人向けではないことは間違いない。加えて一夜限りのコンパなどは別だろうが、基本的に親友を作る際には見返りは期待しない。

大袈裟に聞えるかも知れないが、前述のような、社会が親友になってくれないような広報活動は散見される。売上好調時には積極的に情報開示するが、景気低迷とともに情報を開示しない。都合の悪い質問には答えない。メディア露出できないCSRは行わない。誇大に装飾した言葉でプレスリリースを飾るなど。

広報活動を行い“記事”としてメディアに取り上げられれば確かに効果は大きい。加えて“記事が記事を呼ぶ”と言うように、他紙も切り口を変えて記事化したり、またテレビで取り上げられたりするのも広報の効果だ。しかし短期的な、或いは目先だけの利益を求めて活動するのは逆効果な場合がある。不祥事や事件事故などの対応が悪いと、いつまででもバッシング記事が続く。

なぜこの様な事が起こるかは、実際に起こった事象に対してではなく、その企業の姿勢に対するものである。どんな不祥事を起こしても、誠実な対応を行っている場合は、決してマイナス報道が長引くことはない。

広報は目先の効果を追い求めるものではなく、長期的に社会と親友に、つまり良好な関係を構築するための活動である。親友になれれば、発信したことを正当に評価してくれ、また情報を発信していなくとも、日ごろの活動を評価してくれる場合もある。短期的にみると記事は広告に比べインパクトが少ない様に思うかも知れないが、広報は社会と直接、或いはメディアを通じて企業姿勢を発信していく活動である。目先の“欲”は出さずに、自身の姿勢を示していくことが何よりも重要であり、その結果は盤石な経営基盤の構築につながると言える。

広報100箇条 広報は”無償の愛”と理解すべし

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL