良いポジティブな広報素材を如何に発信し、効果的な報道を勝ち取るかには、やはり広報担当者の経験、知識やテクニックなどのスキルの差がどうしても出てくる。では広報担当者は、如何に効果的な報道を勝ち取ることに注力すれば良いのだろうか。
好景気の場合、商品サービスのサイクルは早いため発信する機会が多い。また業績も良いことから、上方修正などの前向きな内容のものも多くなる。この様なポジティブな発信であっても前述の通りスキルの差が出る訳ではあるが、報道件数に差が出る、或いは報道内容がインパクトに欠けるなど内容面などにも差が出る程度である。最も差が出るのは、これらと逆の環境での広報対応である。
不景気になると商品開発のサイクルが鈍り、必然的に情報発信の機会が減る。また業績が宜しくない時には、積極的に個別取材をとっていこうとはなかなか思われない。情報発信を、メディアとのコンタクトを控えるということは、当然のことながら露出量が減るが、勝手に書かれても致し方ないということでもある。各社の情報量が減ると、記者は業界まとめ記事を書く。その際に現実とは違った不利な報道をされるリスクがあることは念頭に置く必要がある。
また重要なのが有事の際の対応である。不祥事などの広報対応の如何により、これまで何十年と気付き上げてきたブランドを失墜させる、或いは企業の事業継続自体が危ぶまれることも多くはない。
最近、業績低迷=広報活動凍結という間違った考えを聞くことは少なくない。しかし前述の通り、発信しないことは存在しないことと同義であり、広報担当者の腕の見せ所と認識し、少なくともメディアコンタクト量は維持してもらいたいものだ。
広報90箇条 不景気、不祥事が広報の見せ所と心せよ